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2007年02月07日(水) 15時20分

「あるある」出演研究者、多くが「無理」感じたと証言読売新聞

 捏造(ねつぞう)が発覚した関西テレビ制作の「発掘!あるある大事典2」や前身番組に出演してきた多くの研究者たちが、読売新聞の取材に「番組全体の作り方に無理があった」と感じていることを明らかにした。

 捏造自体は否定するものの、「実験が安易」「都合の良いコメントだけ使われた」などの不信感を持ち、「これを食べれば(試せば)効果がある、と結論付けるのが特徴」と口をそろえる。

 同番組と前身の「発掘!あるある大事典」に出演した経験のある研究者のうち約50人が取材に応じ、15人が番組の作り方に疑問を感じたという。

 「集中力が高まりましたね」「ダイエット効果があります」——アミノ酸研究の第一人者、大谷勝・東京大大学院客員教授は2001年、自らのデータを提供した前身番組で、アミノ酸の効果について、他の専門家がコメントした言葉に、がく然とした覚えがある。大谷教授は、“素人”の制作会社が独自に実験を行うのは無理だと考え、自分のデータを使った「再現実験」を提案した。制作会社による、少人数を対象にした実験で、データと一致する結果が得られた場合は、番組での使用を了承する、というものだ。

 制作会社から事前に「ダイエットや集中力に効果はないですか」と尋ねられたが、大谷教授は「体力、免疫力アップ、肌再生効果以外のデータはない」と言ったという。

 しかし、別の学者が実験データなしにコメントした“ダイエット効果”ばかりが大きく注目され、「飲むだけでやせる」と世間に広まってしまったという。

 ある穀物にダイエット効果があるとした回で実験に協力した医師は驚いた。高脂血症の人とそうでない人10人ずつに食事させる実験を行うべきだと事前に提案したが、実際に行ったのは1人ずつだけ。「参加人数は放映していないので、ぎりぎり捏造ではなかったが、実験ともいえない代物。やせるとは言えないと2時間半も説明したのに、私のコメントの中で『コレステロールが下がってますね』と言い切った数分間だけ使われた」と指摘する。

 眼精疲労に効くとされ、サケなどに含まれる赤い色素「アスタキサンチン」を紹介した回で出演した矢沢一良(かずなが)・東京海洋大大学院客員教授は、「サケを食べ続けても、2、3週間では効果は期待できない。番組側のストーリーにはめ込まれ、利用されてきたと言われればその通りだ」と認める。

 15人の番組に対する疑問の中では「実験がいい加減」「コメントを番組に都合の良い部分だけ使われた」が過半数を占め、ほぼ全員が「結論ありきの作り方」と感じていた。

 ◆科学者も自分の発言確認を◆

 昨年9月に放送された、バナナと脳の活性化に関する回に出演した東京都老人総合研究所のメンバー・阿相皓晃(ひろあき)さんは、「放送前に2回、自分のコメントを確認できた。制作者の問題もあるが、科学者が自分の発言をチェックするなど最後まで責任を持つ姿勢も必要だ」と話している。

http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20070207i105.htm?from=main1