高齢者らがクレジット契約を使った悪質商法の被害にあうケースが深刻化していることから、経済産業省は6日、分割払いの契約を定めた割賦販売法と、訪問販売や電話勧誘などの取引ルールを定めた特定商取引法を、セットで改正する方針を固めた。
販売業者を通じて消費者とクレジット契約を結ぶ信販会社側に事前登録を義務づけるとともに、悪質業者に対する罰則を強化することなどで、高齢者の被害防止を目指す。経産省では、産業構造審議会での議論を踏まえ、来年の通常国会に改正法案を提出する見通し。
国民生活センターによると、訪問販売などに関し、全国の消費生活センターに寄せられた70歳以上の相談件数は、2000年度の約4万3000件から、05年度は約13万8000件と3倍以上になった。生活保護を受給する高齢者が、高級羽毛布団を何度も購入させられる被害なども明らかになり、相談者全体の契約金額の合計は、00年度の4071億円から05年度の6427億円に急増し、被害も拡大している。
高齢者は訪問販売や電話勧誘などの被害にあうケースが多く、こうした販売方法では、特定の商品ごとに割賦契約を結ぶ方法が主流だ。しかし、利用限度額があるクレジットカード決済とは異なり、信販会社は、事前に国への登録や、顧客に契約書面の交付が義務づけられておらず、立ち入り検査や行政処分の対象外で、事実上の“野放し”状態だった。このため、カード決済と同様の規制を適用することが検討されている。
また、悪質商法を巡っては、信販会社側が顧客の収入や契約内容などを十分に審査せず、安易に契約を認めており、高齢者の被害を助長しているケースが目立つ。実際、不要な商品を次々と押しつけられた高齢者らの被害では、契約書の収入欄が空白のまま、契約が交わされるケースも常態化していたことも判明している。このため、審査時の信用情報機関への照会を義務づけることなど、信販会社による審査のあり方そのものについても議論される。
一方、特定商取引法では、業務停止命令に従わなかった業者に対し、懲役2年以下または罰金300万円以下の罰則が定められているが、今後、罰則を強化する方向で検討される。