両社による覚書は同日午後、不二家の桜井康文社長と山崎の飯島延浩社長が直接会って交わした。さらに桜井社長は同日夕、農林水産省の岡島正明総合食料局長を訪ね、一連の再建計画を説明。席上、岡島局長は「消費者の信頼回復に向け説明責任を果たしてほしい」と注文を付けた。
覚書には山崎が実施している米国の厳格な食品安全基準「AIB食品安全システム」の不二家の工場への導入支援や専門技術者の派遣などが盛り込まれた。また、両社は製品の共同配送や原材料の共同仕入れなど、物流面での提携についても協力を検討する。
不二家は新システムを洋菓子五工場に優先的に導入。撤去が相次ぎ販売がほとんどできていないチョコレートなど菓子類の三工場への導入については、洋菓子での成果をみながら今後検討する。桜井社長は記者会見で「山崎は洋菓子も製造していて技術レベルは高い。その支援で改善のスピードを速めたい」と述べた。
不二家支援をめぐっては、同社の大株主である森永製菓も名乗りを上げていた。しかし不二家が洋菓子事業などでノウハウのある山崎を選んだため、森永側は支援を断念し、持ち合い関係にある不二家株も売却する方向だ。
<メモ>AIB食品安全システム 米国の製パン技術研究機関「AIB」が開発した食品工場などの安全基準。国内では日本パン技術研究所(東京都)が指導している。基準は、製造・出荷過程で安全性へのリスク要因を排除するため、従業員の規範や清掃作業など5項目で構成。
雪印乳業の食中毒事件など食品の安全に対する社会的な関心の高まりを受け、山崎製パンは2000年に導入、既に国内約100社が採用している。
http://www.tokyo-np.co.jp/00/kei/20070206/mng_____kei_____003.shtml