NHK受信料の支払いが2008年度から義務化された場合に、NHKが大幅に経費を削減して受信料の増収に努力すれば、受信料を2割程度値下げできるとする、総務省の試算が5日、明らかになった。
菅総務相は義務化と同時に受信料を2割程度値下げするようNHKに求めているが、橋本元一NHK会長は「実施できる根拠はない」と反論している。総務省は今後、積算根拠を示した試算をもとに値下げの具体化を求めるとみられ、値下げ論議に大きな影響を及ぼしそうだ。
試算は、08年度に受信料の支払いが義務化されると想定し、義務化への理解を得るため、NHKが12年度までに、段階的に250億円の経費削減を達成することを前提とした。
具体的には、12年度までの5年間について、受信料の支払率の上昇による増収と経費削減のペースに応じ、4パターンで受信料値下げの見通しを示した。
現在は約70%の受信料支払率が、12年度までに「80%」または「85%」に上昇する2ケースを設定し、それぞれ受信料収入の増加や経費削減のペースが速い場合と遅い場合に分け、どの程度の値下げができるか計算した。
このうち、支払率が85%と高く、増収と経費削減のペースが速いケースは、値下げに回せる金額が、08〜12年度の平均で総額1175億円。これをすべて受信料の値下げに回すと、訪問集金によるカラーテレビ契約(BS放送を除く)の月額(現行1395円)は、19・0%安い1130円にできる計算だ。最も値下がりが少ないケースも、現行より10・8%安い1245円にできるとしている。