たいていのサラリーマンが加入している生命保険や医療保険だが、「かなりの人が無駄な保険の入り方をしている」との指摘は多い。景気がよくなっても給料はさっぱり上がらない昨今、保険を見直す動きが目立つ。どのような入り方をすればいいのか。そしてお得な保険は…。専門家にズバリ聞いてみた。
【採算を考えて】
「医療保険に入りすぎて、生命保険(の死亡保険金)は足りないというケースが実に多い」と指摘するのは、フィナンシャル・プランナーの畠中雅子さん。
医療保険とは、入院したときなどにお金が出る保険。生命保険は、加入者が死亡した際に保険金がもらえる保険だ。
2つの保険のうち医療保険については「みなさん、コストパフォーマンスが悪い」という。
例えば、45歳の男性が平均寿命の78歳まで生きるとする。保険料が安いとされる医療保険でも、入院1日当たり1万円が出るもので、保険料の総支払額は約210万円になる。
「これで“元”をとるには延べ210日間の入院が必要。しかし1回の入院は60日が限度で、入院と入院の間は180日以上ないと次の入院とはみなされない。(このような制約がつくので)入院保障は最高でも1日1万円にして、あとは貯蓄に回した方がいい」
お得な医療保険をズバリ聞くと、こんな答えが返ってきた。
「入院・手術だけのシンプルなタイプで、財務内容の良さを示す格付けの高い会社のものがいいでしょう」
具体的には、損保ジャパンの「Dr.ジャパン」、アメリカンファミリー生命保険(アフラック)の「EVER」、オリックス生命の「CURE」などがオススメという。
「オリックスは通販に特化したことでコストを抑えている。アフラックは人気ナンバーワンで、加入者が多い分、保険料が下げられる。損保ジャパンは財務内容がいい。生保よりも損保の方が短期的な資金運用になるので財務を改善しやすく、医療保険に向いている」
【4月まで待つ】
一方の生命保険。この4月には11年ぶりに予定死亡率が改訂され、保険料が下がる予定だ。これから生命保険に入ろうという人は、4月まで待った方がいいという。
予定死亡率とは、生命保険の保険料を算出する際のデータの1つで、男女別、年齢別に1年間の死亡率を算出したもの。平均寿命が延びている関係で死亡率も年々、下がってきており、それに伴って保険料も引き下げられる見込みだ。
では、死亡保険金はいくらあればいいのか。畠中さんがこれまで集めてきたデータをもとに算出すると、持ち家の男性会社員で子供が1〜2人という条件だと、3000万円が基準という。
賃貸住宅だと1000万円を上乗せして4000万円が必要になり、子供が1人増えるとさらに500万円ずつ増えることになる。共働きや夫死亡後に妻が実家で生活できるような場合には、それぞれ1000万円マイナスする。
これらのことに配慮しながら、医療、生命保険を合わせた保険料は手取り月収の10%程度を目安にするといいと畠中さんはアドバイスする。
ZAKZAK 2007/02/06