県警捜査3課によると、2005年は6件だった銅線の盗難が、06年は37件(約1900万円)と6倍以上に急増。今年に入っても被害が相次ぎ、今月4日までに9件(約300万円)の被害届が出されている。
被害の増加に伴い、大がかりな犯行も目立ち始めた。長岡市内のリサイクル業者では1月上旬、切断してドラム缶に入れていた銅線など約2・1トンが盗まれた。長岡署では「複数犯がトラックなどで持ち去ったのではないか」とみている。
24日には上越市の「上吉野清掃センター」で、銅製の電線が大量に盗まれているのが見つかった。盗まれた電線は総延長237メートル(約6万2000円)で、施設全体の約5%を占めた。高さ8〜9メートルの電柱に登って電線を切断し、重機などで運び去ったとみられる。センターは休業中で停電にはならなかったが、市環境施設課は「悪質な犯行で本当に迷惑」と憤る。
銅線の盗難が急増する背景には、銅価格の高騰がある。経済産業省によると、国内の小売り価格は昨年1月時点で1トン当たり50万円台だったが、同5月には100万円を突破。現在も70万円台で推移している。
国内での価格高騰の一因は中国での需要増だ。日本電線工業会によると、05年度に中国向けに輸出された銅線は約455億円(通関実績)と、前年度より約80億円増え、06年度はさらに増える見込み。県内のあるリサイクル業者は「中国への銅線の輸出は業者にとっても大きなビジネスとなっている」と打ち明ける。
銅線の盗難に歯止めがかからないことから、県警はホームページなどで被害防止のポイントを紹介。〈1〉フェンスを設置するなどして敷地に入られないようにする〈2〉防犯装置をつける〈3〉施錠できる場所に保管する——ことなどを関連業者に呼びかけている。