「行政の対応も一緒に検証すべきだ」。県が昨年12月に設置した「RD最終処分場問題対策委員会」の初会合で、委員の早川洋行・滋賀大教授が声を上げた。
委員は、地元住民や地質学や行政学などの研究者ら19人。しかし、県の提出した資料は有害物質や地質など自然科学的なデータばかりだった。「社会学者や住民がいる意味がない」。社会学が専門の早川教授は訴えた。
これに対し、県は「行政対応については別の検証委員会を設ける」と説明したが、池田こみち・環境総合研究所副所長は、「検証委員会と対策委員会を密接にしないと、今後の対策は議論できない」と指摘。
県の資料では、1990〜98年に「悪臭の発生」や「ばい煙の飛散」などの苦情があるが、県の対応は書かれておらず、池田副所長は「素早く対処していれば、(環境汚染が)これほどひどくならなかった」と批判した。
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2005年9月から始まった調査で見つかったドラム缶と一斗缶はそれぞれ105本、69個。複数の同社元社員が「違法なドラム缶を埋めた」と証言しており、住民が県に何度も要望して実現した調査だった。しかし、「数千本埋めた」「埋められるものは何でも引き受けた」などの証言もあるといい、「見つかったのは一部にしか過ぎない」と憤る住民もいる。
県がドラム缶の内容物などを調査したところ、環境基準を超えるダイオキシンなどを検出。地下水からもヒ素などが出た。しかし、研究者らは、県の分析方法にも疑問を抱く。畑明郎・大阪市立大大学院教授は、すべてのドラム缶を調査しないことや、分析項目の少なさなどを挙げ、「正確な分析を出すには、問題点が多すぎる」と指摘する。
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いずれにせよ、処分場やその周辺で環境汚染が生じているのは事実で、同社の破産による処分場の管理が大きな懸念材料となっている。地元住民らは、県が処分場を所有するよう求めているが、嘉田知事は「妥当な手法とは考えていない」として、その意思がないことを表明。同社破産管財人の吉田克弘弁護士は「地元で管理してもらうのも一つの手かもしれない」と打開策を訴える。
対策委員会は今年秋までに報告書をまとめる予定だが、環境汚染は今も続いている。早急に汚染の広がりを防ぐ対策を示すだけでなく、二度と同様の事案を起こさない行政など体制作りが必要となることだけは疑いない。