この衆院議員は03年の総選挙で落選。東京都の同連合会が設立された04年7月から解散した同年9月まで理事長を務め、この時期も被害例があったという。被害者の一人は「(落選後の)04年3月に元理事と衆院議員と会食した際、2人の親密な様子を見て元理事を信用した」と証言している。
衆院議員の事務所は「議員は何も話すことはないと言っている」としている。
被害者の会社役員らは04年12月、告訴とともに、他の事業を含めだまし取られたとする計約5000万円の損害賠償を、元理事や東京都と沖縄県にある二つの同連合会などに求める訴訟を東京地裁に起こした。
同地裁は05年3月、元理事や沖縄県の同連合会などに約3500万円の賠償を命じる判決を言い渡した(現在控訴中)。東京都の同連合会に求めた1500万円については、06年9月に被告側が全額支払うことで和解が成立している。
判決によると、元理事は04年1月、会社役員らに「規制緩和で沖縄に行政特区が認められ、沖縄に農事組合法人の本部を置けば福祉介護事業を展開することができる」「国から建設費の補助金が出る」などと架空の投資話を持ちかけた。その際、「登記費用として1法人につき305万円の支払いが必要」と言って、役員らに3法人の設立費用名目で計約1千万円を金融機関に振り込ませたとされる。
関係者によると、同連合会側の働きかけを受けて、03〜04年に沖縄県に設立された農事組合法人は、この会社役員の分を含め少なくとも70に上るとみられ、100人近くが計数億円をだまし取られた疑いがあるという。
農水省によると、いずれの法人も設立に義務づけられている都道府県や国への届け出をしていない違法状態だったため、監督官庁の農水省が解散命令を出すなどし、沖縄県と東京都の同連合会を含めた72法人がすでに解散している。
http://www.asahi.com/national/update/0204/TKY200702030273.html