緊急点検の対象となったのは北見市で供給する北海道ガス(北ガス)と、北見と同じく一酸化炭素(CO)を含む都市ガスを使う全国15社の計16社。ガス漏れは、うち13社で見つかり、北見市内が34件と4割以上を占める。応急処置の後、順次修理を進めている。国内では大半の事業者が無毒な天然ガスに切り替えているが、この16社は総計で59万7000世帯になお供給している。
政府は90年、2010年までに天然ガスに切り替えるよう指導し、北ガスも、北見市分は09年までに切り替える予定だった。すべての会社が終えるのは期限ぎりぎりの10年末の予定だ。
先月18日に発生した北見の事故を受け、経産省は日本ガス協会に「計画前倒し」を指示した。だが、資金や技術者数の問題などから難しいのが現状だ。
四国ガスは10年11月にならないと転換が終わらない予定だ。同社広報グループは「早くしたい気持ちはあるが、供給地域が分散しているうえ、近隣に同業他社がなく、人員的な応援を受けるのも難しい」と語る。転換に7年以上を要する予定の旭川ガスも「人員に限りがある」と言う。
日本ガス協会は先月23日に「天然ガス化推進対策本部」を設置し、各社間の連携強化や資金支援の検討を始めた。
もう一つの問題は古い管の存在だ。北見市で破断が見つかったのも40〜50年以上前に埋設された鋳鉄製の管だった。かつて多く使われた鋳鉄管や亜鉛めっき鋼管は、古くなると折れたり腐食したりしかねず、現在は埋設が禁止されている。
だが、全国の一般ガス事業者216社(05年)の調べでは、これら古い材質の老朽管がガス管全体の17%にあたる3万8000キロ残っている。
経産省は2020年までに、ポリエチレン管への入れ替えを指示している。だが、地下に張り巡らされたガス管の整備は資金がかかり、中小のガス会社では進んでいない。
法定では40カ月ごとで良い点検間隔を1年に詰めるよう求めた経産省の2日の通達も、古い管からのガス漏れを少しでも早く見つけたいという狙いからだ。
http://www.asahi.com/national/update/0203/TKY200702020381.html