国は一審で賠償を命じられたが控訴。東京高裁での非公式の和解協議でも消極的だった。原告数は1〜6次の提訴で計630人(1月現在)。
安倍首相はこの日、首相官邸で記者団に対し、「原告とも話し合いをしながら、何ができるのか検討していきたい。(問題が生じてから)ずいぶん時間が経過している。(病気と排ガスの)因果関係など、難しい問題もあるが、あまり時間をかけるべきではない」と語り、和解協議に国として応じる考えを示した。
環境省は、トラックやバスなどディーゼル車が出す粒子状物質を規制するNOx・PM法改正案を通常国会に提出する準備を進めている。商業施設に対し、排ガス基準不適合車の削減義務付けや汚染のひどい交差点の対策などを検討しており、和解協議ではこうした取り組みを示して、原告側の理解を得たい考えだ。
環境省幹部は「協議の場で原告の求めていることを見極めたい」と話している。
一方、国土交通省も、自動車の排ガスに含まれる有害物質を抑制する装置の開発や研究への支援といった自動車への対策に加え、道路構造などを見直し、排出された有害物質が道路上に滞留しにくくする方策を検討することなどを、和解協議の場で提示する考えだ。
こうした国側の動きについて、石原慎太郎都知事は同日の会見で、「公害対策は裁判とは本来関係なくて、国が当然やらなければいけないことだ」と指摘した。
都が和解協議に提案した新たな医療費助成制度は、年間経費約40億円を国と都が3分の1ずつ、自動車メーカー7社と首都高速道路公団(現・首都高速道路)が6分の1ずつ負担する内容だ。国は、病気と排ガスの因果関係が明らかでないなどとして、資金負担には否定的な姿勢をとってきた。
http://www.asahi.com/national/update/0202/TKY200702020354.html