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2007年02月02日(金) 00時00分

街歩きITがお助け 熊本中心街で実験朝日新聞

  「信号は青です。あと60秒で変わります」。街の中に張り巡らされた情報網から、歩行者に必要な情報を送る次世代情報システムの実証実験「くまもと安心移動ナビプロジェクト」が1日、熊本市の中心街で始まった。九州では初の試みで、18日まで続けられる。

  実験では、上通商店街から通町筋、水道町交差点にかけての約20カ所に「無線マーカ」を設置して情報を発信。視覚障害者らモニター14人は、小型端末「ユビキタス・コミュニケータ」を持って街を歩く。バス停や電停、信号に近づくと、店の情報や時刻表などが端末の画面に表示される。

  視覚障害者用の点字ブロック400カ所には小型電子部品「ICタグ」を置き、センサー付きのつえを使うと「横断歩道が終わりました」「右に行けばバス停があります」と音声が流れる。

  参加した主婦橋本美穂子さん(44)は「的確に情報を示してくれるが、融通が利かない。障害物の回避機能など、将来に期待したい」と話した。

  カーナビなどで使う全地球測位システム(GPS)に比べて誤差が少なく、ビルの何階のどこにいるかが正確にわかる。地下街や観光施設など屋内での案内のほか、視覚障害者や高齢者向けのサービスに応用できる。

  実験は、いつでも、どこでもコンピューターが使える「ユビキタス社会」の実現を目指す、国土交通省の「自律移動支援プロジェクト」の一環で、愛知万博や神戸空港などでも実施された。

  熊本市での実験は範囲や利用できる機能も限定的。端末もA5サイズで持ち歩くには大きめだが、プロジェクト委員長の坂村健・東大大学院教授(情報工学)は「将来は携帯電話に同様の機能を搭載できる」と話す。

  国交省の担当者は「実証実験で精度を高め、健常者向けは早ければ08年度、視覚障害者向けは10年度には実用化したい」と話す。県は、11年の九州新幹線開業に合わせ、JR熊本駅でも行う予定だ。

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