同県によると、鉛が流出したとみられるのは、ごみの焼却熱で発電する施設の重金属貯蔵庫。昨年八月九日、県の工場敷地内調整池に流れ込む雨水の採水調査で、環境基準(一リットル中〇・〇一ミリグラム)の二十七倍の〇・二七ミリグラムを検出した。発電施設は昨年六月から本格稼働しており、流出防止の応急措置を取った同十月十四日まで、近くの塩沢川にも鉛が流出していた可能性がある。
同工場は全国初の総合的資源循環型モデル施設として本年度から稼働。最先端の技術を結集し、廃棄物の100%資源化を目指す一方、排ガス中のダイオキシン濃度で全国一厳しい基準を適用している。循環利用で排水が工場外に出ない「クローズドシステム」など高度な環境対策を講じ、建物の外に有害物質は流出しないはずだった。
県はインターネットによる情報の徹底公開も掲げ、周辺住民が年四回施設内に立ち入る監視員システムも導入した。しかし、今回の鉛漏れで県側は、応急措置の後で寄居町と監視員を兼ねる協議会役員に鉛流出の事実を知らせただけで、協議会員全員への報告は「五月の総会で報告しては」と先送りにしていた。
県ホームページでは、昨年十二月から施設の排水八十五項目の水質調査結果を掲載したが、高い数値の出た鉛も同列に記載。環境基準を超えたことは記さなかった。
県資源循環推進課は「影響が少ないと判断し、公表しなかった。七日に協議会員全員に対する説明会を開く。それまでに鉛流出の事実を簡略にHPに記載する予定。情報公開が遅れたことは反省している」としたが、一般住民向けの説明会開催の予定はないという。
水道水の水質基準は、鉛含有量を一リットル中〇・〇五ミリグラム以下としていたが、大量に飲み続けると神経障害を発症する恐れがあるとして、二〇〇四年度から〇・〇一ミリグラム以下に改正された。沈殿した鉛を農作物が吸収し、食べた人に健康被害が生じる恐れも指摘されている。
http://www.tokyo-np.co.jp/00/sya/20070202/mng_____sya_____009.shtml