日興は2005年3月期決算で、連結対象にするべきだったグループ会社を連結から外したうえ、発行日を偽った金融派生商品「他社株転換社債(EB債)」をグループ内で取引して評価益を計上し、連結経常利益を約188億円水増しした。
日興はこれまで、EB債の発行日を偽った理由について「発行書類に不備があり、担当のグループ社員がミスを隠すために発行日を偽装した」と説明していた。
しかし調査委は、社員のメールのやりとりや、会議内容を記したメモなどから、利益を水増しするために意図的にさかのぼったと判断。当時、日興の財務担当常務だった山本元・現日興コーディアル証券常務や、平野博文・前執行役が「主体的に関与し、法令違反行為があった」と認定した。
引責辞任した金子昌資・前会長と有村純一・前社長については、監督責任を指摘したうえで、「有村氏は全容を知る立場と状況にあり、重大な経営上の責任がある」と言明した。利益を水増しした動機について、調査委は「業績に連動した報酬が目的だった可能性もある」としている。
日興の桑島正治社長は調査結果公表を受けた記者会見で、今後、「自社の責任として」再び諮問委員会を設置、場合によっては旧経営陣への損害賠償請求も視野に、責任の所在などを検討する方針を示した。
東京証券取引所は、日興株を上場廃止のおそれがある「監理ポスト」に割り当てており、今回の調査結果や、2月下旬までに提出される同期の有価証券報告書の訂正報告書を基に、上場廃止に踏み切るかどうかを決める。
http://www.chunichi.co.jp/00/kei/20070131/mng_____kei_____000.shtml