捜査本部が30日に詐欺容疑で逮捕した17人のうち、11人は幹部会員だった。北海道から沖縄まで全国各地に拠点を持ち、農業やルポライターなどの本業を持つ容疑者もいる。全国から約1550億円を集め、02年に警視庁に摘発された八葉グループによる詐欺事件でも、約50人の幹部会員が書類送検されている。
取材に応じた男性は酒や雑貨の小売業に携わる一方、20年ほど前から健康器具、寝具など、複数の会社のマルチ取引にかかわるようになった。
男性によると、マルチ取引で得られる収入は、本社から支払われる紹介料と配当の二本柱という。会員を新たに勧誘したときに支払われるのが、紹介料。出資した額に応じ定期的に支払われるのが、配当だ。
紹介料ももちろんだが、本当のうまみは、自分が勧誘した会員が増えるにつれ、配当率がどんどん上がっていくところにあるという。
自分が勧誘した会員が、新たな会員を勧誘する。ねずみ算的に自分がかかわった会員が増え、そのたびに配当率が上がる。入会が遅れるほど利ざやは小さくなり、「会員がもうかるのは、事業開始から2、3年。必ず破綻する。早乗り、早降りですよ」と男性は話す。
新しい会社の情報は、仲間の幹部会員から入ってくる。投資をして失敗した会社もあるが、成功した会社も少なくないという。自らの収入は明かさないが、「同僚は5000万円くらいもうけている」とも話す。
八葉グループについては、話を聞いて怪しいと思ったので手を出さなかった。男性は「深入りしないことが大事。浅く、広くが身上だ」と話している。
http://www.asahi.com/national/update/0131/TKY200701310324.html