新設されたミツカンの納豆工場で「におわなっとう」が次々と生産されていく=ミツカンフレシア三木工場で
現在、ミツカンの納豆工場があるのは、需要地に近い群馬、千葉、愛知の3県。4カ所目となる新工場は主に関西地区への出荷を担い、1日の生産能力は32万食。業界2位の同社の生産量が15%増える計算という。調味料工場も併設しており、計87億円を投じた。
同社によると、納豆の市場規模は相変わらず「東高西低」だが、健康ブームも背景に関西でも徐々に浸透してきた。参入時の97年と比べた05年の伸び率は首都圏4%、東海圏9%とほぼ飽和状態だが、関西圏は19%増。最大手のタカノフーズ(茨城県)は軸足を東日本に置いており、関西では主に旭松食品(大阪市)とミツカンが競う。
関西の場合は特に、納豆独特の風味をいかに抑えるかがかぎを握るという。旭松食品の「なっとういち」に、ミツカンは食酢で培った発酵技術を応用した「におわなっとう」で対抗。さらに、「梅風味黒酢たれ」「もみじおろしぽん酢たれ」「とろ〜りたまご入り醤油(しょうゆ)たれ」と相次ぎ商品化、たれの風味で引きつけようと知恵を絞る。
ただ、市場全体は、納豆ダイエット効果をうたったテレビ番組のデータ捏造事件の影響にもさらされる。ミツカングループの中埜又左エ門和英社長はこの日の工場起動式で、「捏造問題でいまは需給バランスが崩れているが、関西市場の潜在的な需要をより顕在化させていきたい」と語った。