「相手方の社会的地位も明らかにされないまま、老舗料亭において社会通念を逸脱した高額な費用によりなされたものである」
東京地裁は判決で、石原知事の一部敗訴の理由をこう述べた。
この訴訟は、平成16年5月に市民グループ「税金を監視する会」(代表・石田千秋葛飾区議)が起こしたもの。
訴状によると、石原知事らは12年6月から15年11月までの間、外部から登用した有識者らと計78回にわたって私的な飲食を行い、約1194万円を知事交際費から支出したという。
市民グループが知事交際費の中から78回だけを取り上げたのは「庶民感覚からかけ離れた1人当たり1万円以上の飲食」や「公務員相手の官官接待」を問題視したため。
この中には、元運輸官僚の棚橋泰参与らと1人当たり4万2636円(8人で計34万1092万円)飲食したほか、石原知事の四男の画家、延啓(のぶひろ)氏が関わる「トーキョーワンダーサイト」館長の今村有策参与らと1人当たり2万5154円(5人で計12万5774円)飲み食いしたものもあった。
東京地裁は判決で、原告が求めたうち、5万8065円と34万1092円の計39万9157円について、都に返還するよう命じた。
原告代表の石田氏は「(一部しか返還を命じないなど)ひどい判決だ。これでは税金の無駄遣いに歯止めがかからない。即日かは分からないが、控訴する」と語気を荒らげた。
原告側の三宅弘弁護士は「判決をよく見てみないと分からないが、最近の(知事交際費)だけ認められた形。追及は続けていく」と語った。
石原知事をめぐっては、知事交際費だけでなく、トーキョーワンダーサイトの不明朗会計、海外への豪華視察旅行などが問題視されている。
今回、司法当局が一部とはいえ“知事敗訴”の判決を下したことは、都知事選の選挙戦略に影響を与えそうだ。
ZAKZAK 2007/01/30