関西テレビが制作したフジテレビ系の情報番組「発掘!あるある大事典2」の捏造(ねつぞう)問題で、ワサビの若返り効果や、レモンのダイエット効果を紹介した回でも、それぞれ実験結果や専門家のコメントを歪曲(わいきょく)して放送していたことが29日、読売新聞の調べで分かった。
納豆ダイエットの捏造が発覚して以降、ほかの内容改ざんが次々と明らかになっており、強引な実験や取材がほぼ日常的に行われていた疑いがさらに強まった。
ワサビの若返り効果が紹介されたのは、昨年3月26日。「ワサビで10才若返る!」と題して、「ワサビが脳を活性化させる」実験などを伝えた。
番組スタッフは、被験者10人を集め、麗沢大学の豊島建広教授(健康科学)の下で、落ちてくる物差しをつかむ反応速度を測定。豊島教授は「ワサビを食べるグループと食べないグループに分けるべきだ」と注文をつけたが、スタッフは「人数が足りない」からと、同じ被験者で食前と食後に実験を行ったという。10人中7人に効果が表れたとして紹介されたが、豊島教授は「まともな実験とは言えず、結果も偶然だ」と批判する。
この実験映像を後日見て、ワサビの脳活性化作用について、番組内で脳の活動性が一時的に高まったとする趣旨のコメントをした磯子中央・脳神経外科病院の土田隆副院長も、「統計的に意味のある結果を出すには最低18人の被験者が必要だった」と、実験の信頼性を疑問視している。
一方、昨年1月15日に放送された「正月太り解消? 食べても太らない新理論」では、夜食を取っても太らない方法として、食後にレモン果汁を飲むことを提案。6人の被験者に、ラーメンを食べた後にレモン1個を搾った果汁を飲んでもらい、中性脂肪値の増加量を調べる実験を行った。
その結果、レモン果汁を飲んだグループの中性脂肪値は、飲まないグループより3割低かったとされた。
番組内で「レモンに脂肪吸収を抑制する効果はある」などと発言した東海学園大学人間健康学部の三宅義明専任講師は、「論文をスタッフに渡してコメントしたが、番組の実験には関与していない」と話す。三宅講師の論文では、レモン数個分に相当する果汁300グラムを使用しており、1個だけの実験については責任を持てないという。
三宅講師は、「私の研究では、動脈硬化の予防とレモンポリフェノールの関係を調べており、番組での発言も、動脈硬化の予防に限ってのこと。レモンにダイエット効果があるとは一言も述べていない」と語っている。
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