「沈没船の財宝引き揚げに投資すれば、倍にして返す」などと偽り、架空の海外投資話で金をだまし取ったとして、警視庁と静岡、福岡両県警の合同捜査本部は30日、詐欺容疑で、健康食品販売会社「リッチランド」(東京都北区)会長(61)=埼玉県川口市=ら17人を逮捕した。
逮捕者の中には同社元幹部のほか、新たな会員を獲得する見返りに「紹介料」を得ていた幹部会員も含まれている。
合同捜査本部は、全国の1万人以上から総額約500億円を集めていたとみて、資金の流れの詳細を調べ、大型詐欺事件の全容解明を進める。
調べによると、容疑者らは平成16年2月下旬から6月中旬の間、59歳だった都内の飲食店経営の女性ら7人に対し、「沈没船を引き揚げ、積み荷の金貨をオークションに掛けて莫大な利益を上げている。コースに参加すれば5年で2倍になり、必ずもうかる」などと偽り、現金約4600万円を詐取した疑い。
関係者によると、資金は和牛、メロン、ロイヤルゼリー、化粧品などさまざまな商品の購入代金名目で集めていた。派手な宣伝はせず、各地の一流ホテルで説明会を開催し、「沈没船の財宝引き揚げや東欧の不動産事業に投資して、2倍にして返す」などと勧誘、商品を購入させていた。
民間信用調査会社や関係者によると、容疑者は宮城県出身。上京後、マルチ商法の健康食品会社や布団販売会社で勤務。平成4年に「家庭用酸素発生器」を売る会社「ビッグバン」をつくったが、3年後に倒産。11年にリッチランドの前身となる「シーシージャパン」を設立した。
側近の元幹部もマルチ商法とはかかわりが深い。9年には、「和牛商法」で違法に金を集めたとして、静岡県警に出資法違反容疑で逮捕され、有罪判決を受けている。
ZAKZAK 2007/01/30