全国の約1万人から500億円以上を集めた東京・北区の健康食品会社「リッチランド」が、架空の投資話で高配当を約束し、出資金をだまし取ったとして、警視庁と静岡、福岡両県警の合同捜査本部は30日、同社会長ら17人を詐欺容疑で逮捕した。
同社は、出資済みの投資家に2〜10%の紹介料を支払い、新規の出資者を勧誘させるマルチ商法の手口で、多額の資金を集めていた。
逮捕者の中には、1997年に摘発された「和牛預託商法」で有罪判決を受けた元会社社長らが含まれており、捜査本部は、この元社長らが中心になって被害を拡大させたとみている。
逮捕されたのは、リッチランド会長の佐伯万寿夫容疑者(61)、同社相談役の深山正規(みやま・まさのり)容疑者(62)など。深山容疑者は、高配当や元本保証をうたって和牛オーナーを募集した会社の元社長で、97年12月、和牛預託商法の主犯格として、出資法違反容疑で静岡県警に逮捕され、その後、執行猶予付きの有罪判決が確定していた。また、リッチランドから多額の紹介料をもらい、新規の出資者集めに協力した出資者も逮捕された。
調べによると、佐伯容疑者らは2004年2月下旬〜6月中旬、豊島区内の飲食店経営の女性(当時59歳)ら7人に「海外の不動産投資で、預けた資金が倍になる」などと架空の投資話を持ちかけ、計約4607万円をだまし取った疑い。
佐伯容疑者らは、「5年で資金が2倍になる」などという「ヨーロピアンプログラム」をPRしていたほか、深山容疑者について「欧州某国のファンドマネジャーになったので、半年で出資金が倍になる」と宣伝するなど、架空の投資話を次々に捏造(ねつぞう)し、99年秋ごろからの5年余りの間に、1口50万〜300万円の出資金を計500億円以上集めていた。
このうち約100億円については、欧州の銀行の複数の個人口座に送金され、投資された形跡がほとんどなかった。同社は、新たな出資者から資金を集めては、別の出資者への配当に回す自転車操業を繰り返しており、残る約400億円の大半も、この配当資金に充てられたとみられている。
被害者の中には、高配当をうたった資金集めで02年11月に警視庁に摘発された「八葉グループ」の出資金詐欺事件の被害者らが含まれており、捜査本部は、リッチランドが、過去に摘発されたマルチ商法グループの顧客名簿を悪用して勧誘や資金集めをしていた疑いもあるとみている。