十一日に不祥事が発覚してまだ三週間もたっていないのに、早くも自主再建不能説や企業分割論まで取りざたされるほど危機的状況に追い込まれている。三年後に創業百年を迎える老舗が、あっという間に瀬戸際に立たされた。
なぜ不二家は窮地に陥ったのか。企業活動にはいろいろな失敗や事故がつきまとう。大事なのは失敗などが起こった時の対処だ。原因究明と責任の明確化など「危機管理」を日ごろから考えておく。
「隠さず、うそをつかず、ひるまない」−ある財界人の言葉を思い出す。つらい時でも逃げてはいけない。不二家のトップは基本を忘れていた。正面から世間に向かわなければ、信頼は得られない。
同社は二十二日に社長が交代し外部有識者による改革委員会も発足して、再建に踏み出した。驚くのは不二家を隠れみのにするかのように食品会社などが次々と賞味期限切れや異物混入製品の回収を始めたことだ。情けない。
昔、不二家のブランドはあこがれだった。そしてつい最近まで、わが家では子どもたちが目を輝かせてケーキを食べていたことを思い出す。
先日、銀座のレストランに行ってみるとシャッターがおりていた。張り出されたおわび文の余白に「ペコちゃん頑張れ!!」とペンの書き込みがあった。消費者の信頼はまだ失われていないのではないか。再建を急げ。(大沢 賢)
http://www.tokyo-np.co.jp/00/ronsetu/20070128/col_____ronsetu_000.shtml