捜査1課の調べなどによると、改造された湯沸かし器による最初の事故があったのは85年1月で、札幌市で2人が死亡した。87年1月には北海道苫小牧市で2人が死亡し、3人が軽症。いずれも配線が不正につけ替えられ、排気ファンが回らなくてもガスが供給される状態だった。
同社製の湯沸かし器では85年から05年の間に28件の事故で21人が死亡。同課などは、唯一時効にかからない05年11月に東京都港区で起きた死亡事故に関する業務上過失致死傷の疑いで、同社などを家宅捜索した。
同社は85年の事故で改造が見つかったことを、発生から約1カ月後に警察からの説明で知り、87年の事故でも社長を含む幹部が改造について把握していた。
しかし、同社が改造への注意を促したのは88年5月。全国の営業所や「サービスショップ」と呼ばれる系列の修理代理店に向けて文書を配布し、「いかなる理由があっても安全装置を外したり働かないようにしたりするなどの改造作業は絶対に行ってはならない」と通知した。
85年の事故直後に対応をとらなかった理由について、同社は「修理した業者の特殊な行為で、改造が広く生じる可能性はないという認識だった」と釈明。しかし同課などが全国の代理店などから事情を聴いたところ、不正な配線のつけ替えは簡単にできるうえ、つけ替えると、故障時の応急措置や点検時の通電状態のチェックが容易になることから、広く行われていたことがわかった。
都内の代理店の社員は「つけ替えによる改造はちょっと知識があれば思いつく。パロマは問題があっても文書で伝えてくるだけなので、危機意識が共有されなかった」と話す。
また、同社の注意喚起の文書は主に系列店にとどまり、危険性について一般修理業者や利用者には伝わっていなかった。過去の訴訟の中で、同社の担当部長は「一般ユーザーに危険性を知らせても(改造の有無を)点検しないだろうと考えた」などと証言していた。
http://www.asahi.com/national/update/0127/TKY200701270303.html