「牛乳や卵などを買うとき、真っ先に見るのが期限。うそをつくのは許せない」。東京都内のスーパーで買い物をしていた四十代の主婦は憤る。
しかし、消費期限と賞味期限の違いを尋ねると、あいまいだった。
期限表示は、日本農林規格(JAS)法と食品衛生法で義務づけられている。
消費期限は、弁当や総菜、生菓子など傷みやすい(おおむね五日以内)食品に記載され、期限を過ぎると健康に害が生じる可能性が高いもの。
一方、賞味期限は、缶詰やスナック菓子など比較的傷みにくく、期限が過ぎてもすぐに食べられなくなるわけではないものとしている。
例えば、卵には賞味期限が記載され、「期限を過ぎた後は十分加熱処理してください」とあり、「食べてはいけない」とはなっていない。
農林水産省によると、こうした期限表示は原則加工食品に義務づけられ、野菜や果物など生鮮食品にはないが、魚や肉の切り身、サラダ用の野菜盛り合わせなどパック詰め商品や卵には義務づけられている。
牛乳には、消費期限と賞味期限がある。それは、殺菌方法など加工の仕方によって品質保持の期限に違いが出てくるからだ。低温殺菌乳が消費期限、高温殺菌乳などは賞味期限の表示が多い。
不二家が原料に使用した牛乳は、消費期限が「一日過ぎ」だった。低温殺菌乳ではなかったが、賞味期限ではなく消費期限だったのは、「製造日を含めて五日以内に使うという取り決めがメーカーとの間であったため」(同社)と説明する。
消費期限が「表示した日付までに飲みきってほしい」(日本乳業協会)のに対し、賞味期限は各メーカーが検査して「安心しておいしく飲める」という保存期間に0・7を掛け、短めに設定しているという。ただし、未開封で冷蔵庫に保存してある場合の目安だ。
川崎市のある菓子店では、素材を生かし、砂糖を抑えたジャムを製造している。おいしく早く食べてもらおうと賞味期限を短めに記載し販売する。
「だが、期限が長い他の商品と並べられると古いものに見られてしまう。製造年月日の記載も義務づけるべきだ」と同店のパティシエは話す。
かつて食品には製造年月日の記載が義務づけられていたが、消費者問題研究所の垣田達哉代表は「古い食品が一目で分かり、新しいものから売れてしまうため、業界側の強い要望で廃止され、品質保持期限を記すようになった」と振り返る。
さらに、不二家がプリンとシュークリームの消費期限を社内基準より一−二日超えて表示していたことを踏まえ、「不二家に限らず、期限の明確な根拠が示されないまま製造者の表示を信用するしかないのは問題だ」。
全国消費者団体連絡会の神田敏子事務局長は「製造年月日と品質保持の期限の併記が望ましい。中にはそういう食品もあり、消費者が買うことで良心的なメーカーのすそ野を広げていけたらいい」と呼びかける。
http://www.tokyo-np.co.jp/00/kur/20070127/ftu_____kur_____000.shtml