同映画は01年、JR新大久保駅で、男性を救出しようとして亡くなった韓国人留学生イ・スヒョンさん(享年26)の実話に基づいたストーリー。実は両陛下の異例の試写会出席の背景には、皇后陛下と故人の両親との間の、知られざる秘話があったからだった。
事故から10カ月後に来日したスヒョンさんの両親は皇居見学中に、偶然、皇后陛下と遭遇した。スヒョンさんの遺族と知った皇后陛下から「あの事故には当時から痛ましい思いをしておりました。何かあったら何でもおっしゃってください」と声を掛けられ、手を握られたという。このような経緯の中から、両陛下の試写会出席が実現した。
観賞後に両陛下と対面した故人の母ユンチャンさんは「立派な映画、立派な息子さんでしたねとお声を掛けていただきました」と、目を潤ませて感激した。父ソンデさんは「両陛下には、隣国同士で仲良くしていきましょうとの思いがあったようです」と話した。
花堂純次監督(51)は、両陛下の鑑賞の意義を「日韓の懸け橋になるという映画の目的に、大きな力を与えてくれた」と力説。スヒョンさんの命日に行われたこの日の特別試写会は、全国公開前に勢いをつけた。
また、試写会には、安倍首相の昭恵夫人や福田康夫元官房長官、田中真紀子元外相らも出席した。