同課は、これまでパロマ関係者から任意で事情聴取を進めてきた。しかし、湯沸かし器の不正改造について、修理業者がどのような経緯で行ったかの裏付けなどをさらに進めるため、家宅捜索に踏み切った。今後は押収資料を分析、同社の事故後の対応や、指揮伝達系統などを含めた事故実態も調べ、パロマ幹部の刑事責任追及を含め、詰めの捜査を進める。
捜索容疑となったのは二〇〇五年十一月二十八日、港区南麻布のアパートで、不正改造された湯沸かし器を使用した大学一年の上嶋(じょうしま)浩幸さん=当時(18)=がCO中毒死した事故。一緒にいた兄も重症を負った。この事故は一連の事故のうち唯一、公訴時効(五年)を迎えておらず、同課が捜査。改造は目黒区内のパロマサービスショップの担当者が行った疑いがある。
一連の事故は一九八五年から〇五年にかけ、二十八件発生し、二十一人が死亡。パロマ工業製の湯沸かし器は、発売当初から安全装置の基板の「はんだ割れ」が多発。こういった製品上の問題が、修理業者の不正改造を招いた可能性がある。同社は昨年七月の問題発覚まで回収措置は取らず、消費者に直接の注意喚起をしていなかった。
■捜査には全面協力 パロマがコメント
パロマ工業とパロマの緊急対策本部は、二十七日の警視庁の捜索について「幹部の立ち会いで捜索には全面的に協力しています。今後も協力してまいる所存です」とのコメントを出した。
<メモ>パロマ湯沸かし器事故 パロマ工業のガス瞬間湯沸かし器による一酸化炭素(CO)中毒事故で、1985年からの20年間に21人が死亡。96年に死亡した男性の遺族が原因究明を求め、警視庁捜査一課が再捜査を開始。安全装置の不正改造が分かり、指摘を受けた経済産業省が記録を調べ直し事故多発を公表した。2005年の上嶋浩幸さん死亡事故が、業務上過失致死罪の時効5年を迎えていない唯一のケース。パロマは製品の欠陥を否定していたが、昨年12月に「広義の欠陥があった」と認めた。
http://www.tokyo-np.co.jp/00/sya/20070127/eve_____sya_____000.shtml