業務上過失致死傷容疑の立件には、製品の欠陥の有無のほか、同社側が捜索容疑となった05年の港区の死亡事故を事前に予測しえたか、予測できた場合、適切な対策をとったかが焦点になる。
捜査1課の調べや同社などによると、28件のCO中毒事故のうち少なくとも16件について、発生の翌日から数日後には、事故報告書として小林敏宏社長や副社長らに報告されていた。他の12件についても社長らが閲覧した記録はないが、口頭などで伝わっていた可能性が高いという。
小林社長は昨年7月の記者会見で、87年1月の北海道苫小牧市の2人死亡事故について、直後に把握していたことを認めている。これは全体の28件の事故のうち2件目にあたる。
社内で事故状況を上層部に伝える報告書は、事故が起きた地域を担当する各営業所が、警察やガス供給会社からの連絡を受けて作成。事故原因とされる配線の改造の有無や、事故機の製造年など詳細も記されていたという。
同課はこれまでに、事故報告書などの任意提出を受けたほか、同社社員らから、幹部が事故直後に把握していたという内容の供述を得ている。今回の捜索で、報告の伝達経路やそれを受けた同社の対応、修理業者とのやり取りなどについて詳細に調べる。
同社は経済産業省に指摘されるまで製品の回収など抜本的な対策をとってこなかったことについて、「事故は配線を不正に改造されたことによって起きており、製造元であるパロマ工業でなく修理業者の責任と考えていた」と説明している。
しかし、同課などは、事故機に「はんだ割れ」という現象が頻発していたことや、安全装置の改造が容易な構造になっていることについて、製品の欠陥にあたる可能性もあるとみている。
http://www.asahi.com/national/update/0127/TKY200701270212.html