死者21人を出したパロマ工業製ガス湯沸かし器による一酸化炭素(CO)中毒事故のうち、2005年11月に東京都港区で死亡した大学生の死因について、警視庁捜査1課は、湯沸かし器の不完全燃焼によるCO中毒と断定、製造元などの刑事責任を追及するため、27日、名古屋市の同社本社や親会社のパロマなど関係先を業務上過失致死傷容疑で一斉捜索する方針を固めた。
港区南麻布のマンションで05年11月28日に起きた事故では、大学1年生の上嶋浩幸さん(当時18歳)がCO中毒で死亡し、兄も重いCO中毒となった。
これまでの調べによると、上嶋さんの部屋に設置されていた湯沸かし器は、安全装置を制御する「コントロールボックス」が不正に改造され、不完全燃焼が起きた場合でもガスの供給が続く状態になっていた。再現実験の結果、1時間弱の不完全燃焼で致死量のCOが室内に充満することが判明。捜査1課は、不完全燃焼が上嶋さんの死亡につながったと断定した。
事故の直接の原因となった湯沸かし器の不正改造については、同課の調べで、十数年前に目黒区内の修理会社によって行われた可能性が高いことが分かっている。一方、同社製の湯沸かし器はコントロールボックスの耐用年数が短く、修理業者などによる不正改造が横行し、同様の事故が相次いでいた。
このため同課では、捜索で得た資料を分析し、同社などが抜本的な事故防止策を講じることができなかった原因を調べるなど、詰めの捜査を進める。一連の事故のうち、上嶋さんのケースだけが、業務上過失致死傷罪の公訴時効(5年)を迎えていない。