構造改革特区だけに認められている株式会社による学校設立について、政府は25日、全国解禁を当面の間見送る方針を固めた。
株式会社が初めて設立した「LEC東京リーガルマインド大学」(本部・東京都千代田区)の法令違反が明らかになるなど、株式会社立の学校の多くで経営面や教育研究面に問題が見つかったためだ。
文部科学省は同日午後、LEC大に対し、学校教育法に基づく初の改善勧告を発動。改善した内容について、30日以内に書面で報告するよう求めた。
私立学校の設立・経営は、学校教育法で学校法人にしか認められていないが、2003年度から、特区制度を利用すれば株式会社も学校を設立できるようになった。現在、株式会社立の学校は、大学6校、高校13校、中学1校の計20校ある。
特区制度は、弊害がなければ、一定期間後に、全国で規制を完全になくすことが前提となっており、株式会社の学校設立についても、政府の構造改革特区推進本部が2006年度中に、全国解禁を認めることを視野に検討を進めていた。
ところが、文科省による株式会社立学校の調査で、〈1〉収支が赤字〈2〉大幅な定員割れ〈3〉他の仕事と兼務する教員の指導力不足〈4〉図書館の蔵書が少ない——などの問題が浮上。さらにLEC大が改善勧告を受けることになったことから、同本部は、全国解禁を見送らざるを得ないと判断した。