捜査2課は昨年12月4日の同社本社などへの家宅捜索後、サーバーの押収を進めてきた。
サーバーはユーザーが電話を掛けるたびに認証作業や通話先への接続などを行うコンピューターで、同社のものはビデオデッキを一回り大きくしたような形状。賃貸アパートや事務所の一室に置かれているケースが多く、北海道から沖縄まで44都道府県の約90カ所に1300台余りあり、ほぼすべてを押収した。
サーバーがすぐ稼働できる状態だったかなど、同課が状況を検証したところ、作動させるためのすべてのソフトウエアが組み込まれているのは約20台しかなかったという。投資事業に実体があるように見せかけるための「舞台装置」にすぎなかった、との見方を強めている。
同社は、イスラエルの通信会社の通信ソフトウエアを利用したサーバーを国内の通信関連会社から購入して各地に設置していた。この通信関連会社によると、1台約30万円。これに加え設置費用が、ソフトを組み込む場合は1台当たり約8万円、組み込まない場合で約1万5000円だった。
この通信関連会社は、アメリカ、ブラジル、中国、フランスなど海外12カ国・地域を含む国内外の約110カ所に計約2200台を納入、設置したとしており、残りの約900台は海外分と見られる。近未来通信の総務省への報告では「実際の稼働は7台だったが、国内と国外合わせて計2466台設置した」となっていた。
機能しない見せかけのサーバーを購入・設置するだけで近未来通信は6億円以上を投じていたことになるが、近未来通信関係者は「サーバーを置いてさえおけば詐欺罪に問われないだろうという上層部の意図があった」と話す。
同社は、サーバー数台でつくる「中継局」を、一般の電話回線とインターネット網をつなぐため投資家からの金を元に国内外に多数設置し、中継局を経由した利用者の通話料から投資家に利益を配当するとして投資金を集めていた。投資総額は約400億円に上るとされる。
http://www.asahi.com/national/update/0125/TKY200701240368.html