29日の労働政策審議会の部会に改正案を示し、通常国会に提出する。
最低賃金には、都道府県別に全労働者を対象にした「地域別」と、特定業種だけの「産業別」がある。要綱では地域別を「労働者の賃金の最低限を保障する安全網」と位置づけ、「地域の労働者の生計費、賃金、企業の支払い能力を考慮して」金額を定めるとした。生計費として、生活保護の給付水準に配慮する。
厚労省の04年度の調査によると、最低賃金で働いた月収(1日8時間、22日労働)と、18〜19歳の独身者の生活保護限度額(生活費と住宅費)の都道府県平均を比べると、東京や神奈川、大阪など11都道府県で生活保護の方が上回った。県庁所在地だけで比較すれば、大半の都市で生活保護の方が高かった。
違反した企業への労働者1人当たりの罰金の上限は、昨年末の労政審の答申で「30万円超」としていたのを「50万円」と定めた。最低賃金を下回る賃金で従業員100人を雇う企業が摘発された場合、従来は罰金の上限が200万円だったが、5000万円へと大幅に引き上がる計算だ。
地域別を「賃金の安全網」と位置づけ、罰則を強化することから、産業別の最低賃金には罰則を適用しないことにする。
公明党の太田代表は22日の党の会合で「今国会は『雇用国会』とも言われる。最低賃金の引き上げや、パート労働者の均等処遇の推進に力を入れる。法案を成立させていく決意だ」と強調。与党はホワイトカラー・エグゼンプションの法案提出見送りに伴い、セットで議論されてきた残業代割増率引き上げをめぐる調整がつかない場合も、最賃法改正案は切り離して成立させる構えだ。