予想以上の早い展開だった。初場所が終わったのは21日、横綱審議委員会の石橋義夫前委員長(共立女子学園理事長=61)が、週刊現代の広告がハデに掲載されている新聞を手に「どうなっているんだ。キチンと調査すべき」と、北の湖理事長に要求したのは、翌22日のことである。
その週刊現代には「朝青龍が全勝優勝した去年11月の九州場所でガチンコ(真剣勝負)相撲はわずか4番しかなく、モンゴル出身の旭天山(幕下西45枚目)が仲介役となって、1番80万円で勝ち星を買っていた」という内容の記事が掲載されていた。
それからわずか2日後の24日、勝ち星を売って八百長に加担していると名指しされた関脇以下の7人、琴光喜、雅山、露鵬、琴奨菊、時天空、安馬、黒海らが両国国技館に呼び出され、無気力相撲の摘発、防止を担当する監察委員会の友綱委員長(元関脇魁輝)、伊勢ケ浜副委員長(元前頭和晃)、弁護士の3人で編成する調査委員会の事情聴取を受けた。
万事、慎重で腰が重い相撲協会にしては異例のスピードと言っていい。それだけ、この疑惑が、場合によっては、せっかく復活の兆しをみせてきた人気の命取りになりかねない重大なもので、大相撲界が大慌てしていることを読み取ることができる。
友綱委員長は、「事情聴取した力士は全員、知らない、身に覚えがないと言っている。私もないと思っている」と話しているが、このところ、幕内にモンゴル力士をはじめ、外国出身の力士が急増。出入りする日本人にはわからないことをいいことに、支度部屋にはモンゴル語など、外国語が頻繁に飛び交い、ときには大きな笑い声なども起こって、とても取組前とは思えないような、たるんだ雰囲気になっているのは事実。
みんな、目の色を変えて準備運動をしていた若貴時代には考えられなかったことだ。
友綱委員長は、「これを機会に、疑いを持たれる相撲を無くしていきたい。野放しにしないで、徹底的にやろうということだ」と話しているが、週刊現代サイドは、第2弾として来週発売号で、栃東、魁皇らの疑惑も暴くという。友綱委員長はその魁皇の師匠だけに、どこまで真実に切り込めるのか。一抹の不安が…。
初場所で優勝した朝青龍はもっか、モンゴルに帰省中。帰国後の来週早々には、問題の朝青龍や、八百長の仲介をしたと指摘される旭天山らの事情聴取も予定されている。果たして大相撲界はどこまで疑惑を晴らせるのか。今後の動きが注目される。
■「週刊現代」(2月3日号)は、「横綱・朝青龍の八百長を告発する」との見出しで4ページにわたって特集。朝青龍について、現役力士が「その相撲のほとんどが『注射』(大相撲の隠語で「八百長」)」とし、昨年九州場所で全勝優勝した朝青龍の取組については「全15番のうちガチンコ(真剣勝負)は4番だけ」と告発している。これに合わせて全取組をビデオで検証。さらに関係者の証言から、モンゴル出身の旭天山が仲介役となって1番80万円で星を買っていたと報じている。同誌の取材に対し、師匠の高砂親方(元大関・朝潮)は「本人に確認するつもりもありません」としていた。
ZAKZAK 2007/01/25