同省はこの日、虐待情報から48時間以内に安全確認をすることなど児童相談所(児相)の運営指針などの見直しを正式発表した。これとは別に、死亡事例の分析・検証態勢の整備も急ぐことにした。
児童虐待防止法は、国や地方自治体は「児童虐待防止のため、必要な事項の調査研究、検証を行う」と定めている。しかし、重大事件が発生したときだけに検証組織を設けるなど自治体によって対応はまちまちだった。一方、昨年3月に同省の専門委員会がまとめた報告書によると、04年に全国で起きた虐待死53例のうち、検証が行われたのは24例だけだった。
このため、厚労省は検証組織や実施方法などの指針作りに着手。今夏をめどに策定するが、指針の基本方針案には「都道府県児童福祉審議会の下に、検証組織を常設することが望ましい」と明記。委員は「外部の者で構成する」とした。
検証対象は、死亡事例を中心としつつ、死亡に至らないケースや、児相の職員らが気付かないところで起きた心中や車中放置、新生児遺棄致死などの場合も、重大な事例と判断すれば対象に含める。関係者へのヒアリングなどを通じ、事実の把握、発生原因の分析を行い、再発防止策を都道府県に報告する。
千葉県は、03、04年度にそれぞれ2件の児童虐待死が相次いだことをきっかけに05年6月、弁護士や校長、精神科医ら第三者8人からなる常設の検証委員会を設置した。県虐待防止対策室は「地域ネットワークを生かした支援の必要性など幅広い視点からの検証が可能になった。常設にすれば機敏に会合を開くこともでき、継続的な政策の見直しもしやすい」と話す。