家電量販店最大手「ヤマダ電機」(本社・前橋市)の大阪市内の大型店舗で、同社員が雇用関係のない家電メーカー販売員に対して、職業安定法で禁じられた業務の指示・命令を行っていたことが、関係者の証言でわかった。
メーカー側が人件費を負担し、自社製品の販売促進名目で量販店に常駐させる「ヘルパー」と呼ばれる販売員で、本来、店側から販売方法や勤務時間などを指示・命令できない。
しかし、この店では、指示に従うことを文書で誓約させていた。雇用関係をあいまいにさせる行為で、労務管理上の問題があるとして、大阪労働局は同法に基づき、近く同店を立ち入り調査する。
関係者によると、職安法違反の疑いがあるのは、昨年3月オープンした大阪市浪速区の大型店「LABI1(ラビワン)なんば」。
出退勤時刻の記録、休憩の取り方、接客態度など35項目の指示事項をまとめた「チェックシート」を作成。ヘルパーに、項目ごとに「確認済み」の印を入れさせ、「以上の項目を守り、誠実に勤務します」と印字された下欄に署名・押印させていた。「他社の売れ筋商品の知識習得」も義務付けており、複数のヘルパーが「他社製品も販売しており、店の幹部から残業を命じられたこともある」「誰に雇われているのか、わからなくなる」などと話している。
ヤマダ電機はヘルパーの受け入れ人数を明らかにしていないが、その大半はメーカーが人材派遣会社と契約して確保した派遣労働者。同店はヘルパーと契約関係はなく、メーカーにヘルパーの常駐を認めているに過ぎない。
厚生労働省によると、指示・命令できるのはメーカー側だけで、店側が指示・命令した場合、メーカー側から店側への違法な労働者供給とされ、職安法44条違反になる。店側が指示・命令するなら、社員やパート従業員のように直接雇用するか、派遣会社と直接、派遣契約を結ぶ必要があり、人件費は店側の負担となる。
ヤマダ電機経営企画室の話「以前から法令を順守しており、社内調査の結果でも違法な行為はなかった」