三診療所のうち渋谷区の診療所は、医薬業コンサルタントとしても知られる東洋大学の男性教授が経営に関与しており、森田容疑者はこの教授のセミナーに参加したこともあったという。同庁は、男性教授と診療所の医師についても、診療報酬の不正受給の疑いがあるとみて、立件に向けて捜査を進めている。
調べでは、森田容疑者は昨年一月四日から同五月二十六日までの間、保健所に届け出ていた管理薬剤師を常駐させていなかったにもかかわらず、客に漢方薬を調剤・処方した疑い。森田容疑者は漢方薬の専門医「中医師」を名乗っていたが、日本の薬剤師の資格は持っていなかった。
同容疑者は任意の事情聴取などに年齢を五十一歳としていたが、その後の調べで五十六歳と判明した。
■「漢方薬の代金2カ月で8万」
薬事法違反容疑で経営者の森田喜代重容疑者(56)が逮捕された漢方薬局「健命堂」などには、二十三日午前八時半ごろから、段ボール箱を手にした捜査員が入り、捜索を始めた。
同十時十五分ごろ、帽子を目深にかぶった森田容疑者が捜査員に促され、無言のまま車に乗り込んだ。
森田容疑者に昨年一月ごろ、漢方薬を調剤・処方されたという六十代の男性は、同薬局前で「漢方薬の代金が二カ月で八万円。ちょっとおかしいと感じた。あまりに高いので、何かあるのではと思っていた」と険しい表情で語った。
薬局には「わたしはがんだった 森田喜代重」という宣伝文句に添えた、笑顔の森田容疑者の大きな顔写真の看板が掲げられていた。
http://www.tokyo-np.co.jp/00/sya/20070123/eve_____sya_____006.shtml