関テレはこの日、緊急の「危機管理委員会」を開き、原因究明のための調査委員会の人選や番組の存続問題などについて協議。視聴者からの苦情、問い合わせは二十一日夕までに百件、フジテレビでは千件を超えた。
番組制作を請け負った「日本テレワーク」の久世高志総務部長は「厳密な裏付けやチェックを徹底したつもりだったが、社外スタッフも含まれていて混乱したようだ」と釈明。同社は二〇〇五年にもテレビ東京の情報番組で実験データをねつ造しており、「根本的な部分で反省が生かされていなかった」と語った。
制作会社は一般に、潤沢でない制作費で短期間に仕上げることをテレビ局側から求められる。業界関係者によると、制作費と納期を切り詰める傾向はますます強まっているという。久世部長も「時間と予算の問題がないとは言わないが…」と苦しい胸中を語った。
数多くの人気番組を手掛ける老舗制作会社「東阪企画」の澤田隆治会長は「テレビ局が下請け任せにして、チェック機能を真剣に構築しないから起きた。このままでは同じことがまた繰り返される」と警鐘を鳴らす。
民放各局の番組制作は年々、下請け依存の割合が高まっており、関係者は「今は九割ぐらい」と分析する。澤田会長は「(待遇に恵まれず、仕事がきつい)制作会社志望の若者が減っている時代。質が下がっているならば、再教育しないといけない。制作サイドは緊張感を持ち、番組は視聴者の信頼で成り立っていることを忘れてはならない」と語った。
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テレビ局の「やらせ」や「ねつ造」は、ここ数年に限っても各局で相次いで起きている。
日本テレワークが請け負った〇五年のテレビ東京の情報番組では、花粉症対策の治療実験をまったく行っていなかったことが発覚。フジテレビの情報番組「めざましテレビ」のコーナーでは、〇四年から〇五年にかけて三回分の放送で、ディレクターの知人を登場させるなどして話をでっち上げた。〇二年のテレビ朝日のワイドショーでは、特集担当のリポーターが暴走族のリーダーに暴走行為を依頼していたことが明るみに出た。
報道番組も無縁でない。日本テレビは〇三年、購入した伊勢エビを漁師が捕獲したように見せかけ放送。〇五年には個人情報を売買する「名簿屋」の実態を報じる際、制作会社スタッフが知人を顧客に仕立てた。
より刺激的な映像で、視聴率を上げたいとの思いが透けて見える。〇三年に発覚した、同局の番組プロデューサーの視聴率操作事件は記憶に新しい。報道番組でも「やらせ」が行われたところに、視聴率至上主義から脱却できないテレビ局の“病理”の根深さがうかがえる。
<メモ> 発掘!あるある大事典 食や健康、美容、レジャーなど、身近なテーマを分かりやすく紹介する生活情報バラエティー番組。1996年10月にスタートし、2004年4月に「2」としてリニューアルした。日曜午後9時の“激戦区”での放送だが、ビデオリサーチの調べによると、視聴率は関東地区では10−15%前後と堅調で、問題となった7日の放送回は14・5%だった。
http://www.tokyo-np.co.jp/00/hog/20070122/mng_____hog_____000.shtml