ゼンセン同盟によると、ストは消費者からも反発を招く可能性もあり、06年春闘でも傘下の約2000組合のうち、ストを打った組合はなかった。そこで時間外労働拒否を新たな戦術にした。
36協定は労使の合意に基づくもので、労働者側から一方的に破棄することも可能。会社側は再び協定を結ぶまで、時間外労働を命ずることができない。春闘では3月中旬の経営側回答に向け、事前に10日間前後の期間を区切って、破棄通告することを想定している。
ただ破棄に関する条項が協定に具体的に明記されているのは全体の3割程度で、どこまで戦術として採用できるかは不透明だ。ゼンセン同盟は「破棄条項の明文化にも取り組み、来年以降の春闘でも続けていく」という。
また、ベースアップにあたる賃金統一要求として組合員平均1%以上、定期昇給制度がない中小は7000円以上を掲げるが、傘下の産業別部会ごとに「1.5%以上」といったより高い要求も出す。賃金格差是正のため、現行水準が低い組合は高い目標が必要と判断した。
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〈キーワード:36協定〉 労働基準法36条に基づく労使協定で、「さぶろくきょうてい」と呼ばれることが多い。会社が法定労働時間(1日8時間、週40時間)を超えた時間外労働を命じる場合、必要となる。労働者の過半数で組織する労組や代表者と書面による協定を結び、労働基準監督署に届け出る。届け出をしないで時間外労働をさせると、労働基準法違反(6カ月以下の懲役または30万円以下の罰金)となる。