2005年12月に、県内で初めて宅配サービスを導入したのは佐倉市立図書館。「さくらブックお届け便」と名付けたこのサービスは、インターネットかカウンターで予約を受け付け、宅配業者が届けるもの。宅配料金は着払いで、返却は宅配便を利用するか、市内の図書館窓口や返却ポストで行う。CDなどが対象になっていないこともあって06年度の利用は今のところわずか4件(15冊程度)だが、同図書館では「今後も多様なサービスの一つとして続けていきたい」としている。
一方、市川市中央図書館では、昨年10月に同様のサービスを導入した。CDやビデオも対象で、サービス開始直後から利用があり、これまでの貸し出し実績は月に4〜10人(平均30点弱)。送料は本の大きさや数などによって異なるが、市内の場合は300〜350円という。返却を窓口で行わない場合は、借りる時と同じ宅配業者を使うか、公共施設に置かれた返却ポストを利用する。担当職員の坂本昭夫さんは「これほどの利用があるとは思わなかった」と話す。
また、成田市立図書館でも新年度、貸し出し中の本の予約をカウンターやインターネットで受け付け、希望があれば宅配便(費用は自己負担)で送るサービスを始める予定だ。
こうしたサービスが登場した背景には、本の予約がインターネットでできるようになり、図書館まで出向くことが難しい多忙な人も利用しやすくなったことや、ネット経由であれば宅配の受け付けにかかる職員の手間があまりかからないことなどがあるとみられる。
日本図書館協会(東京)によると、障害者や高齢者を対象に宅配サービスを行っている図書館は多いが、それに比べて一般向けは少ないという。多忙でなかなか図書館に足を運ぶことの出来ない人に歓迎されるサービスとして、浸透が期待されている。