ミスタードーナツの食品衛生法違反事件を巡る「ダスキン株主代表訴訟」の控訴審判決が18日、大阪高裁であった。
渡辺安一裁判長は「ダスキンの信用失墜の防止と消費者の信頼回復のために努力すべき注意義務を怠った」と認定したが、事件による全損害額約106億円の支払いを命じた1審・大阪地裁判決を変更、元専務ら2人に半額の約53億円の賠償を命じる判決を言い渡した。
賠償額を半額にした理由について、渡辺裁判長は、「損害額は注意義務を尽くした場合でも発生した損失を控除すべき」との判断を示し、「注意義務を尽くしていれば、信用失墜や売り上げ低下は限定的なものにとどまり、出費の半額を超えることはなかったと認められる」と述べた。
判決によると、ミスタードーナツは2000年5〜12月、無認可の食品添加物入り肉まん約1300個を販売。当時のダスキン経営陣は公表せず、加盟店への営業補償など約106億円の支出を強いられた。
元専務ら2人とは別に、当時の役員11人も別の訴訟で審理されており、昨年6月、大阪高裁は全員が連帯して約5億5800万円を支払うよう命じ、現在、上告中。
事件を巡っては、元専務ら2人と法人としての同社が食品衛生法違反罪で略式起訴され、罰金20万円の略式命令を受けている。