教師役は地検刑事部の高長伯(こうながのり)検事(32)。一年生五クラス(百九十六人)の「総合的な学習」の授業で計五回、制度の仕組みや意義、検察官の役割を説明した。この後、生徒たちは実際にあった殺人事件の量刑について、八グループに分かれて討議を行い、裁判員を模擬体験した。
取り上げたのは、妻(67)が自宅で寝たきりの夫(71)の首を絞めて殺害した事件。夫婦は二人暮らしで介護疲れが犯行の動機だった。
討議の結果、量刑は無期懲役から執行猶予つきの有期刑まで幅広い意見が出た。量刑理由もさまざまで、あるグループは「女性は精神的に追い詰められていたので仕方ない」と懲役三年、執行猶予一年半と結論づけた。
高検事は「それぞれ意見が違って当たり前で、一般の意見を裁判に取り入れることが制度の目的。正解はないのでどんどん意見してほしい」と語った。
授業を受けた生徒の一人(16)は「私は死刑でもよいと思ったが、グループでは反対された。全員の意見をまとめるのは難しかった」と話していた。 (武田雄介)
http://www.tokyo-np.co.jp/00/cba/20070117/lcl_____cba_____001.shtml