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2007年01月16日(火) 01時52分

不二家社長が辞意表明、期限切れ新たに18件読売新聞


記者会見の冒頭で陳謝し、辞任を表明した不二家の藤井林太郎社長(中央)

 大手菓子メーカー、不二家の藤井林太郎社長は15日、東京・銀座の本社で記者会見し、消費期限切れ牛乳を洋菓子製造に使うなどしていた問題で、社長を辞任する考えを表明した。

 埼玉工場(埼玉県新座市)で消費・賞味期限切れの原材料の使用が新たに過去7年間に18件あったことが分かり、「会社の体質そのものに重大な問題がある」ことを認め、経営責任を取る。

 藤井社長は「社会に対するご迷惑とご不満を招いたのは私の責任」と述べ、謝罪した。辞任時期は「事態の収拾と安心、安全、品質保証の体制が確保できてから」と述べるにとどめた。後任の社長人事には言及しなかった。自らの報酬も1月から全額返上する。

 埼玉工場ではこれまで12件の期限切れ原材料の使用が分かっていたが、新たに1999年から2006年までの7年間に、消費期限切れの牛乳や卵の使用が15件、賞味期限を過ぎたブルーベリージャムなどの使用が3件あった。18件のうち2件は上司の指示で行われていた。

 同工場で消費期限を社内基準より1日長く表示していた問題も、これまでの「プリンで1度だけ」という説明を撤回し、04年6月から06年10月まで、プリンやシュークリームで頻繁に行っていたことを明らかにした。現場担当者だけでなく、製造課長や工場長まで、関係者全員がこの事実を認識していた。

 また、国の基準の10倍以上の細菌数が検出された例が、埼玉工場の1件以外にも、札幌工場で、06年5月中旬から7月下旬までに製造した洋生菓子で、6件あったことも判明した。社内規定で定められた商品の出荷停止や回収の措置は取っていなかった。

 同社は、不正は「組織ぐるみと言われかねない、そう認識される件があった」(藤井社長)として、12日付で「生産対策委員会」を設け、安全管理体制を総点検している。埼玉工場を含むすべての洋菓子工場で原料期限管理帳票の記入方法を見直し、二重チェックから三重チェックに変更したほか、チョコレートなどの菓子工場でも調査を進める。

http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20070115i114.htm