「証人が5秒見ただけで顔を覚えられるのか」「電車でおかしな服を着たヤツは、ついマジマジと見て、覚えるでしょ」
クリスマスイブの夜にサンタ姿で元恋人を殺したとされる事件について、早大高等学院の生徒9人が裁判員と裁判官になりきり、シナリオのない議論を戦わせた。
企画したのは、3年の関川雄介さん(18)ら6人。法学部志望の関川さんらには関心の高いテーマだが、高校生の認知度はまだまだ低い。公募での出演者集めには苦労した。法曹三者役での一番人気は検察官。「正義の味方だから」。ところが、弁護人は希望者が集まらずスタッフが務めた。「犯人かもしれない人を弁護する、という意義が分かりにくいみたい」
判決は、弁護人役の1年、春山貴裕さん(15)の熱弁もあって無罪に。監修した早大法科大学院の四宮啓教授は「主眼は制度を考えること。こういう自主的な企画が広がれば」。
ただ、準備を通じてスタッフでも制度の賛否はわかれた。6人中3人が反対。「高校生でもこれだけ大変なのだから、会社員なら迷惑」「一方的な結論に流されそう」。一方、賛成は2人。賛成派の1年生は「テレビで無責任に見ているだけの事件を自分のこととして考えるようになれる」。
http://www.asahi.com/national/update/0114/TKY200701140230.html