NHKの橋本元一会長は同日の定例会見で、今回の問題について、「視聴者の方に不快の念を与え、申し訳ない」と謝罪した。
紅白歌合戦の担当者も、「前日のリハーサルでは、女性の裸をイメージさせるボディースーツではなく水着などを着用していた。変更は知らされていなかった」と経緯を説明。本番でカメラを切り替えなかったことについても、「予測しない事態で指示が遅れた」などと釈明を重ねた。
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この日、NHKは、DJ OZMA側から「NHKに無断でやった。申し訳なかった」と謝罪があったと明らかにした。
NHKによると、視聴者コールセンターには十日までに電話による苦情が計千七百九十六件寄せられた。大半が「公共放送としての品位を重視すべきだ」という内容だった。
ただ「OZMA」は過激な演出で知られた存在。実際、OZMA側は「インパクトやサプライズが足りない」と判断し、リハーサル後、ボディースーツへの変更を決めたという。
そもそも「OZMA」は紅白の出場決定時から“サプライズ担当”を自認する発言をしており、今回の事態は予想の範囲内といえなくもない。
「NHKもそれ(サプライズ)に乗ったのではないか」。会見で記者団からこう突っ込まれたNHKの担当者は、「新鮮な出演者や演出は、意識する。全体が盛り上がるサプライズならあってもいい。が、個人の思いつきでやるなら意味がない」と、遺憾の意を示しつつもサプライズ効果に期待していたことを暗に認めた。
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最近、紅白歌合戦の視聴率は低迷。今回も、ビデオリサーチによれば関東地区で第一部が30・6%、第二部が39・8%。特に第一部は九〇年と並んで過去最低を記録した。
今回の問題を受けてNHKは、再発防止策として、出演者と口頭での交渉ではなく、「NHKにふさわしい内容で出演する」といった趣旨の覚書を事前に交わすことにした。ただ、この方式を導入すれば、インパクトのある歌手の出演が減ることになりかねない。
橋本会長は、「NHKとしてのクオリティーを守るため、準備をしっかりしなければならない」などと繰り返したが、自らサプライズ効果の芽を摘む“覚書”導入が吉と出るかは微妙。苦戦を強いられる紅白の暗中模索の日々はまだ続きそうだ。
http://www.tokyo-np.co.jp/00/hog/20070112/mng_____hog_____000.shtml