国民生活センターは12日、「ロコ・ロンドン保証金取引」などという名称を使った証拠金(保証金)取引で、100〜200万円ほどの損失を被るトラブルが相次いでいると発表した。
被害者の半数は70〜80歳代の高齢者。取引の仕組みが分からないまま契約しているケースが多く、同センターは安易に契約しないよう注意を呼びかけている。
「ロコ・ロンドン保証金取引」は、業者が消費者から預かった保証金を担保に、ロンドンでの金の価格変動を予測して行う取引。保証金の数十倍の取引が可能。多額の利益を得る可能性がある一方、保証金を上回る損失を被る可能性がある。金の現物の取引でもない。
70歳代の女性は昨年、訪問販売で、「年6%の金利がつく」などと勧められ、120万円分を契約。その後、解約を申し出たが、返金額は15万円と言われた。
また、30万円で取引を始めた40歳代の男性はその後、必要な資金を用意できないために断ったが、「借金すればいい」などと言われ、消費者金融から金を借り、150万円を送金した。その後、解約を申し出たが、「20万円しか返せない」「損を取り戻すには、あと360万円必要」などと言われた。
同センターによると、この取引に関する相談は、昨年10月から急増。今月までに約80件にのぼった。対象となった約20業者は、「適正な業務を行っている」などと答えているという。
同センターは「現時点で、この取引を規制する法律はなく、消費者が一方的に申し込みの撤回や契約の解除を行うことも難しい。取引の仕組みが分からなければ、手を出すべきではない」と話している。