伊吹氏の政治団体をめぐっては05年に議員会館に事務所を置く二つの政治団体の事務所費として総額約4700万円が計上され、一部が飲食代に充てられていたことが判明。伊吹氏は10日の記者会見で、資金管理団体「明風会」の事務所費については、京都市と東京都千代田区にある事務所の経費や飲食代を計上したなどと説明していたが、研究会の事務所費については言及しなかった。
政治資金収支報告書や関係者の話などによると、研究会は97年、当時の橋本龍太郎自民党総裁を支える勉強会として発足。当初は千代田区内のビルを事務所として登録していたが、遅くとも03年以降は伊吹氏の議員会館の部屋に事務所を移した。伊吹氏が発足当初から代表を務めている。
研究会は、02年以前は、党費や出版記念パーティーなどで毎年約170万〜1億2000万円を集め、02年には約4200万円の繰越金が出ていた。
伊吹氏の事務所によると、研究会の立ち上げにかかわった元自民党議員が02年に刑事事件で逮捕されて以降、「運営は停止し、活動していない」という。
収支報告書によると、翌03年には、収入も数千円程度に減り、経常経費を含め支出は全くなかった。ところが、04年に285万円、05年には590万円をそれぞれ事務所費として支出している。政治活動費としても自民党議員の政治団体などに04年に計178万円、05年に計40万円を支出したとされる。
これらの記載について、伊吹文科相側は10日時点での取材に対し「(収支報告書に記載されている事務所費は)交際費やお返し代、ご苦労様代、たまに集まってやっている飲食代に使った」と説明した。
総務省によると、事務所費に含まれるものは、事務所の家賃のほか、火災保険などの保険料、電話使用料、切手購入費、修繕費など事務所の維持に通常必要とされるもので、「交際費は政治活動費に含まれる」としている。
政治活動費には1件5万円以上について領収書の添付が求められるが、事務所費や人件費などの経常経費には領収書の添付の必要がなく、使途明細を報告する義務もないため、領収書が必要な交際費を経常経費として報告すれば、外部から支出の正当性をチェックすることができない。
国会議員の政治団体の経理処理をめぐっては、佐田玄一郎前行革担当相が、別の政治団体の事務所費を付け替えていたことなどを不適切だったとして閣僚を辞任したほか、松岡農林水産相らの議員会館の事務所費が数千万円にのぼることが相次いで発覚している。
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