(藤浪繁雄)
バニーガールを思わせる「ミーナ」は、もともと一九八〇年代に若手のクリエーター集団が生み出したキャラクターといわれる。二〇〇五年七−九月に放送されたフジの「電車男」で、冒頭に流れるアニメ映像のほか、伊藤淳史演じた“オタク青年”が持ち歩いた紙袋、部屋に飾った人形などとして“出演”したものの「電車男」の世界観を表現する一素材にすぎなかった。
ところが、ドラマが終わってもミーナ熱は冷めやらず。オープニングアニメを「巌窟王」「ブレイブストーリー」など数々の人気作品で知られる制作会社「GONZO(ゴンゾ)」が手掛けたことが、本物志向のオタク層やファンの興味を引いた。その後も商品化や雑誌掲載が相次ぎ、ついに連続アニメ化に至った。
主人公の女子高生兼アナウンサー美奈は、宇宙人の侵略に対抗するために開発された、複数の「月面兎兵器ミーナ」の一人。仕事に学園生活に奮闘する美奈だったが、ある時、宇宙人の侵略事件に巻き込まれミーナとしての使命に目覚めていく−という筋立て。
当初は「単なる盛り上げキャラクター」(関係者)だったため、物語は一から構築した。同僚の「ミーナ」たちや同級生ら個性的なキャラクター陣をはじめ、ファンを喜ばせる「ツボ」をちりばめるのにも腐心したという。ゴンゾの加藤淳プロデューサーは「期待がとても高かったので、ストーリー開発には時間をかけた」と明かす。
フジテレビ編成部の高瀬敦也さんは「制作者にとって、自分の作品が放送以外に展開していくのはうれしいもの」とした上で、「どのような番組でも二次的な展開ができたらと日ごろ考えているが、それには番組そのものが視聴率などで好結果を出すことが大事。今回は必要な要素がそろった幸運な一例」と背景を説明する。
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まだアニメの放送が始まる前にもかかわらず、すでに「ミーナ」はビジネスとしても動き始めている。
ビジネス部門を請け負う「GDH」によると、「電車男」はアジア各国・地域でも人気が高く、「ミーナ」についても同様に高い関心があり、タイや台湾、香港などの配給会社から番組購入の問い合わせが相次いでいるという。北米やヨーロッパにも仕掛ける意向だ。
グッズ展開も引き続き活発だ。既に人形、文具以外にゲーム、書籍に加え、食玩商品、裁縫用生地などが販売されている。同社の星野禎ライツ部長は「ミーナは際立って認知度が高い。低年齢向けの商品開発やキャンペーン使用を目指す」と意欲的だ。DVD化を求める声も高まっている。
アニメ業界に詳しいラジオパーソナリティーやまけんさんは「いくらキャラクターが魅力的でも、内容(物語)がしっかりしていないと、ファンは目が肥えているので受け付けない」と話す。
前評判の高い「月面兎兵器ミーナ」だが、実際の“戦いぶり”はいかに−。
http://www.tokyo-np.co.jp/00/hog/20070111/mng_____hog_____000.shtml