横浜市戸塚区の市道で2004年11月、トラック荷台の重機がトンネル入り口の高さ制限棒に接触して落下、下敷きになった歩行者の男性(当時65歳)が死亡した事故で、業務上過失致死罪に問われ、一審で罰金20万円(求刑・禁固8月)の判決を受けた横浜市戸塚土木事務所主任木ノ内伸一被告(52)の控訴審判決が11日、東京高裁であった。
大野市太郎裁判長は「高さ制限棒は通常の安全性を有しており、危険防止措置を講じるべき注意義務はない」と述べ、一審の横浜地裁判決を破棄、逆転無罪を言い渡した。
このトンネルでは03年に高さ制限棒(地上2・9メートル)に車が接触する事故が2件起きており、木ノ内被告は、住民から改良工事の陳情を受けながら1年以上放置したとして起訴された。公判では、トンネルの安全管理を担当する市職員として、工事の必要性を判断して改良に取り組まなかったことが注意義務違反に当たるかどうかが争点になり、一審判決は「不作為があった」と認定した。
これに対し、大野裁判長は「高さ制限を示す標識が設置されているなど、運転者が法を守ることを期待して良い状況だった」と指摘、注意義務違反はないと結論付けた。
事故の予見可能性については「改良工事が行われていれば事故は起きなかった」と一審同様に認めた上で、「道路は完全無欠の安全性を要求される施設でなく、事故は被告の予見を著しく上回っている」とした。
トラック運転手は、高さ制限(2・8メートル)に違反したとして、禁固2年、執行猶予5年の判決が確定している。