東京電力の福島第一原発(大熊町、双葉町)で新たに、温排水のデータを改ざんしていた疑惑が浮上した。組織的改ざんだった疑いも強まっている。東電は10日、県に対し、度重なる不祥事を謝罪した。佐藤雄平知事は「県民の信頼を損なうもの」と遺憾の意を表した上で、今後の原子力政策の議論への影響にも言及した。02年のトラブル隠し以来の信頼回復への道のりが、再び厳しさを増している。
東電原子力・立地本部の藤原万喜夫副本部長らが同日、県庁を訪れ、県生活環境部の根本佳夫部長に「県及び地域の皆様に多大なご迷惑をおかけした」と謝罪した。
根本部長は「新たに4号機で改ざんが判明したことで、これまでの対策が十分でないことが顕在化し、信頼を著しく損ねた」とし、「信頼関係を再構築していく上で、こうした問題を完全に払拭していくことが求められる」との認識を示した。
その後、東電は県庁で記者会見を開き、第一原発の1号機で1985年〜06年12月に、4号機では84〜97年に、温排水データの改ざんしていたと説明した。さらに2、6号機でも86〜87年ごろに同様の改ざんを行っていた疑いが浮上しており、3、4、5号機では82年ごろ、データの整合性を取るためにコンピューターのプログラムを変更していたとされるとした。
1、4号機での改ざんについて、当時の担当者から現場に指示があったとしており、東電側では「(改ざんが)組織的だったという面は否定できない」とした。また、1号機では93年にいったん改ざんを認識しながら放置していたという。
一連の不祥事の背景について、東電は「保安規定や安全管理に直接かかわらない事項に対する認識が甘かった」ことなどを挙げた。
度重なる改ざんの発覚を受け、佐藤知事は「県民の皆さん、特に地域に住んでいる皆さんが安心できるものでなければならないのに、とにかく遺憾なこと」と述べた。また、プルサーマルなどの原子力政策への影響については「県議会での議論にも影響するのではないか」との認識を示した。
原発立地町と周辺町村でつくる「双葉地方電源地域政策協議会」の遠藤勝也会長(富岡町長)も「影響はゼロとは言えない」とした。
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