大手菓子メーカー「不二家」(本社・東京都)の埼玉工場が昨秋、消費期限を過ぎた牛乳を使ったシュークリームを出荷していた問題で、同社は11日から洋菓子5工場の操業を休止し、全国の小売店やレストラン計約900店での洋菓子販売も当面の間休止すると発表した。
また、洋菓子「シューロール」について、細菌検査で食品衛生法の規定を約10倍も上回る細菌数が検出されたにもかかわらず、そのまま出荷していたことも認めた。
一方、埼玉工場に対し、埼玉県の朝霞保健所などが11日午前、臨時の立ち入り検査を実施した。
同社によると、昨年10月中旬から11月上旬にかけて、同県新座市の埼玉工場で、消費期限切れの牛乳を計8回使って、少なくとも2000個のシュークリームを製造・出荷した。
同工場ではこのほか、<1>シュー生地でクリームなどを巻いた洋菓子「シューロール」で、細菌検査で法の基準に満たない商品を出荷<2>アップルパイなどで賞味期限切れのリンゴ加工品を使用<3>プリンの消費期限を社内基準より1日長く表示——なども判明。これらの商品は、首都圏を中心に1都9県の小売店などへ出荷した可能性があるという。
こうした問題について、同社は昨秋の社内調査で把握していたが、公表していなかった。11日に東京都中央区の本社で会見した同社の藤井林太郎社長は「考え方が甘かった」と認め、「生活者を第一に考えた対応が不十分であったため、このように信頼を裏切る行為になったことを深くおわびしたい」と陳謝した。
この問題を受け、同社は11日から、埼玉のほか北海道、栃木、大阪、佐賀の洋菓子工場の操業を休止し、全国約800店に上る直営・フランチャイズ店と、子会社が経営するレストラン約100店で、洋菓子販売を休止した。