東電によると、虚偽データが報告されたのは、福島県に毎年提出している温排水の調査報告書。当時の本社担当副長(課長補佐級)が委託業者に指示し、冷却用海水の取水口側と放水口側の温度差が管理目標値(8.4度)に収まるようにしていた。
4号機では設備上の特性から温度差が目標値を上回る状態が頻発、国から指摘を受けていた。すぐに安全上の問題があるわけではないが、担当副長は検査官の指摘に対応するのが面倒などの理由から改ざんを指示していたという。別の担当者が98年に気付き、不正操作をやめさせた。
排水温は国の定期検査の直接の点検項目ではないが、機器の状態を把握したり、周辺の海洋環境を乱したりしないよう管理が求められる。設備の劣化などで目標値を超える状態が目立てば、最終的に修理が必要になる。そうなれば国の認可手続きなどに時間がかかり、原発を長期間止めなければならない。東電は「安全上問題なければ、この程度の補正なら許されると担当者が判断していた」という。
東電は、福島第一の残る4基のうち2基でも、測定器のプログラムが操作されていた疑いがあるとみて、調査を続ける。
経済産業省原子力安全・保安院は「安全管理の信頼性を損なう、あってはならないこと」として、電力各社に調査を指示している。
http://www.asahi.com/national/update/0110/TKY200701100378.html