記事登録
2007年01月10日(水) 17時32分

元受刑者の自立促す施設、3カ所設置 法務省方針朝日新聞

 法務省は、刑務所を仮出所した元受刑者を全寮制の施設に入れ、24時間態勢で立ち直りを促す「自立更生促進センター」を福島、京都、福岡の3都市で立ち上げる。刑務所と社会を継ぎ目なく結ぶ仕組みづくりのためのモデル施設との位置づけで、今後、全国展開をめざす。施設はすでに3市にある保護観察所を使い、個室を中心とした宿泊施設を新たに作る。07年度から工事に入り、08年度に業務を始める見込み。整備費用が07年度当初予算の「再チャレンジ枠」に盛り込まれた。

 センターへの入所期間は3カ月程度。その間に暴力的性向や薬物依存など、それぞれの犯罪にあわせたプログラムを集中的に施す。怒りの感情を抑制する「アンガーマネジメント」や、様々な立場に立たせるために劇方式を取り入れる「ロールプレイング」などを検討している。

 再就職支援にも力を入れる。一人ひとりの職業経験を踏まえた就職先や引受先を探した上で、退所させるのが目標だ。

 定員は福島が20人、京都が14人、福岡が12人程度と少ないが、保護観察官が住み込み、「濃密なプログラムを施せる態勢をつくる」(法務省保護局)という。外出はできるが、門限はある。

 元受刑者の居住施設を建設することには地域から不安が出る可能性もあり、法務省は地元との話し合いを始めている。

 入居の対象となるのは社会復帰の可能性があるのに、知人・親族や民間施設での引受先がなく、従来なら仮出所できずに満期まで出所を待たざるを得なかった受刑者だ。満期で出所すれば、就職先や住居もないまま社会に放り出されることが多く、再び犯罪に手を染める環境におかれやすい。

 00年に出所した満期出所者のうち61%が5年後の05年末までに再び罪を犯し、刑務所に戻った。早い段階で社会復帰への足がかりを作る態勢を整えるのが今回の狙いだ。

 一度犯罪に手を染めた人の社会復帰に関しては07年度、北海道沼田町に少年のための就労支援施設が開業するが、成人のために政府がこうした施設をつくるのは初めてだ。

http://www.asahi.com/national/update/0109/TKY200701090408.html