事故から約2年5カ月ぶりに再起動した美浜原発3号機(手前)=10日、福井県美浜町で
国の事故調査委員会の最終報告書などによると、破裂した配管は76年の運転開始から28年間、一度も検査されず、当初10ミリあった肉厚は、国の基準4.7ミリを大幅に下回る0.4ミリまですり減っていた。
関電は、86年に米国のサリー原発で2次系配管が破損し4人が死亡した事故を受け、90年に2次系配管の管理指針を策定。しかし事故部位は、関電が検査台帳を三菱重工業に作らせた際に対象から漏れ、96年に関電子会社の日本アーム(当時)に管理が移った後も是正されなかった。
経済産業省原子力安全・保安院は04年9月に美浜3号機の運転停止を命令。その後、関電は破裂した配管を炭素鋼製から、減肉しにくいステンレス製に交換。2次系配管の管理を強化し、原発の運転業務を統括する原子力事業本部を大阪市内の本店から、美浜町へ移転するなどの対策を講じた。保安院は06年3月、関電の再発防止対策の実行状況を評価。県と美浜町も06年5月に運転再開を了承していた。
蒸気噴出事故については、県警が業務上過失致死傷容疑で捜査。配管破断の予見可能性や管理監督義務などについて、関電社員らを対象に調べを進めている。
関電の森詳介社長は「遺族や負傷者の方々の一定のご理解は得られたと思う。プルサーマル計画については、美浜3号機の安全運転を確認後に具体的に検討したい」と話している。
http://www.asahi.com/national/update/0110/OSK200701100031.html